テンペスト The Tempest

6月11日公開 シェイクスピア最後の戯曲『テンペスト』一足お先に鑑賞いたしました。

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(フランスで「La Tempête」ってタイトルかと思ったら、まんま「The Tempest」なんですねー)

私に抱かれて、世界よ眠れ。
ナポリ王アロンゾーは、娘の婚礼の帰途、息子ファーディナンド、弟セバスチャン、ミラノ大公アントーニオらとともに、海上で突然の嵐に遭う。船は難破し、彼らは散り散りとなり、絶海の孤島へとたどり着く。その島は、十二年前彼らが謀り事によって追放した、前ミラノ大公プロスペラが一人娘のミランダと暮らす島だった。実は、彼らが遭遇した嵐は彼女の手によるもの。プロスペラはこの島で魔術の腕を極め、手なずけた妖精エアリアルを駆使して、男たちへの復讐を企てていたのであった。
次々とナポリ王たちの身に降りかかる試練。彼らの行く末は?そして、プロスペラの企ての真の目的は?物語は、善と悪、男と女、聖と俗、現実と幻想、拒絶と寛容、そして悲劇と喜劇を縒り合わせ、大いなる結末へと突き進む…。


女性監督ジュリー・テイモア、原作では男性の主人公“プロスペロー”を、女性“プロスペラ”としてヘレン・ミレンをキャスティング。
「娘と母」と「娘と父」とでは、同じ親子関係でも抱く感情が大きく異なる。“プロスペラ”にしたことで、より母性と人間的感情が強調された感じ。女性監督ならではの演出ですね。
その母娘関係こそに一番リアリティがあった。あとは現実離れしたファンタジー。
舞台では決してなし得ない、荘厳な自然をセットに繰り広げられる。
リアルな自然(ロケ地はワイハーだとか)なんだけど、歯が浮くような文学的な台詞回しや、ちょっと古典的なCGで、映画というよりは舞台を鑑賞しているかのような不思議な気分。

「歯が浮くような」なんて書いたけど、実に美しい言葉の数々。
間違った日本語が飛び交う街、こんなときに不信任案とか何だかで野次飛ばしてる政治に辟易している今の時期だからかもしれないけど、うっとりと心奪われる。
とは言え現代劇に慣れていると不自然に思え、字幕にばかり目が行って肝心の映像に集中できないと言う箇所もあるのだけれど。

アカデミー賞常連ヘレン・ミレンの存在感は、クイーンどころか人間を超越していたけれど、
去年『ブライト・スター』で本気で恋をしてしまったベン・ウィショーの妖精アリエルに、迂闊にもまたハマってしまった!
『I’m not there』でボブ・ディラン演じてた頃からロマン・デュリス並みのもさもさ感が好きだったんだけど、
昨年公開された『約束の葡萄畑』でギャスパー・ウリエルが天使を演じていたのと同じような透明感がたまらない。(いや、作中は本当に透明なんだけど…)
「僕を愛してる?」なんて言われた日にゃあ、もう。見えそうで見えないのも意地悪!王子役のリーヴ・カーニーなんて全然目に入ってこなかったわよ!(完璧マツコ口調)

同じシェイクスピアのロミオとジュリエットのような“身分違いの恋愛模様”もありーの、どたばた茶番劇のユーモアも交えーの、で、予想してたよりは肩肘はらずに緊張感無しに見れた。
“復讐劇”と括るには、裏切りがあまりにもあからさまで(陰湿な裏切りがないということ)残酷さも感じず。
血が流れないのもまた舞台的。
復讐っていうとやはり残虐的なイメージを抱きがちだけれど、そこはファンタジー要素が上回ってた。壮大な景観がバックエンドにあるのも大きな役割を果たしているんだろうね。
大切な“ある物”を映したエンドロールの余韻も好きだった。

ニュースにもなっていましたが、試写会では実物の衣装を小林幸子さまが着ていらしたのだとか。
コルセットきつめでかなりタイトな衣装の印象でしたが、あれがジャストフィットするなんて、幸子さまさすが。

テンペスト―シェイクスピア全集〈8〉 (ちくま文庫)

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ブロマイド写真★ヘレン・ミレン/若い頃のショット

個人的にはフェリシティ・ジョーンズの着ていたワンピがお気に入り。

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